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腎疾患用療法食を動物病院以外で購入する注意点


ざっざっ!のエチケット。

 みなさん、こんにちは。

 清水です。

 今日は、昨年度の動物臨床医学会で発表した内容の紹介です(一部)。

 腎疾患用の療法食には、多くの製品があります。

 タンパク質やリンの制限を謳っている製品に記載されている成分値を調査した結果、一般的に腎疾患用の食事に推奨されている量を外れている製品がありました。

 療法食ガイドラインでは、

 療法食とは、「栄養成分の量や比率が調整又は特別な方法で製造され、食事療法において獣医師の診断・指導に基づき給与することを意図したペットフード」と定義されています。

 また、慢性腎機能低下のための食事の重要な栄養特性は、「リンとタンパク質を制限、高品質なタンパク質を使用」または「窒素含有成分の吸収を低減」とされています。

犬の腎疾患用療法食調査結果箱ひげ図

 療法食は、「獣医師の診断・指導」に基づいて給与されなければなりませんが、残念ながら、「獣医師の診断・指導」を受けずに購入できる(販売されている)療法食があります。

 「リンやタンパク質を制限」と謳われている製品で、教科書で推奨されている量より高い療法食と記載のある製品がありました。

 慢性腎機能低下用の食事のタンパク質量は、AAFCO養分基準を下回る量が推奨されています。

 AAFCO養分基準は、総合栄養食の基準です。

 ペットフードの表示に関する公正競争規約では、

 総合栄養食とは、「毎日の主要な食事として給与することを目的とし、当該ペットフード及び水のみで指定された成長段階における健康を維持できるような栄養的にバランスのとれたものであって、ペットフードの表示に関する公正競争規約施工規則に定める栄養成分等に関する運用基準を満たすもの」です。

 つまり、慢性腎機能低下用の食事は、「栄養的にバランスのとれたもの」ではありません。

 慢性腎機能低下の犬猫のための食事です。

 「獣医師の診断・指導」に基づいて、与えてください。

 慢性腎機能低下用だけでなく、「療法食」は「獣医師の診断・指導」に基づいて、与えてください。

 一度、療法食が決まっても、その食事を生涯与えるとは限りません。

 犬猫の状態、病期は、変化します。

 治ることもあれば、悪化していくこともあり、他の病気を併発することもあります。

 最初に処方された療法食は、合わなくなることもあります。

 療法食は、中止、変更されることが多々あります。

 現在、ワンちゃんネコちゃんに療法食を与えている飼い主のみなさま、

 今の療法食が、獣医師の診察を受けずに長期に与えている場合、一度、かかりつけの動物病院、もしくは、当院までお問い合わせください。

 

 ちなみに、慢性腎機能低下時のタンパク質量は、低すぎても腎機能や一般状態を悪くします。

 療法食の食べが悪いと、最低限のタンパク質が摂取できなくなり、病態が悪化します。

 腎臓が悪いと、食欲が安定しません。療法食を食べてくれないこともあります。

 腎疾患を悪化させないためにも、療法食の選択には、注意が必要です。

 腎疾患用の療法食は、わんちゃんネコちゃんの大好きなお肉の主な栄養素であるタンパク質を制限しています。

 だから、普通の食事より嫌がります。食べてくれないことも少なくありません。

 嗜好性を上げるために、タンパク質量が増やせば、腎疾患用の食事には適さなくなることも考えられます。

 みなさまの大切なワンちゃん、ネコちゃんのためにも、食事に関して疑問を感じた場合、もちろん、療法食を食べない場合も、ワンちゃん、ネコちゃん、飼い主様、我慢せずに、かかりつけの動物病院、もしくは当院までご相談ください。

 病気を持ったわんちゃんネコちゃんが、少しでも快適に食べれるような食事を探していきましょう。

  清水

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