top of page

当院の手作り食のレシピ設計について


ゲットー!って、それ、バジルだよ!!

 みなさん、こんにちは。

 清水です。

 今日は、当院で行っている「栄養診療」の中の「手作り食の設計」についての説明です。

 「手作り食の設計」って言葉、少し硬いですが、手作り食レシピを作ることです。

 以前、犬への手作り食に対して「栄養バランスは大丈夫?」という質問に、「心配ない!」と胸を張って言うことができず、大丈夫と信じたいけど、確証が持てずにいました。

 飼い主様に説明する立場上、何をもって大丈夫と言えるのか、わからないまま過ごしていた時期でした。

 現在は、栄養基準に則す、犬猫の栄養基準を理解することで、さまざまな不安を取り除くことができました。

 手作り食と通常の市販フードを比較する中、

 添加剤など、サプリメントを一切使いたくないと考えている時期もありました。

 天然や自然、ナチュラルという言葉に魅力を感じている時期もありました。

 今も全くないわけではありません。

 私のような飼い主様に(私も一人の飼い主です)、自信をもって手作り食を行えるよう伝えることも、獣医師の仕事だと考えています。

 当院の手作り食の設計は、この考えに基づいています。

 以下、当院で行う手作り食の設計とその説明の流れです。

 まず、飼い主様からレシピや、使用したい食材などをいただきます。

 そして、そのレシピ(食材)に基づいて、手作り食のレシピを設計します。

 通常、3つのグラフ(AAFCO養分基準に対する充足率)で説明します。

 以下のグラフの図は、一例です(阪急ハロードッグセミナーの時の図です)。

 最初のグラフ(青色の棒グラフ)は、いただいたレシピ(食材)のみのグラフ(下図)。

犬の手作り食のはじめの食材のみの充足率

 グラフの横軸はAAFCO養分基準で最小値の規定されている各栄養素。

 AAFCO養分基準は1997年から長い間、同じでしたが、2016年度に大きく変更されました。

 その新しいAAFCO養分基準との比較のグラフです。

 縦軸は充足率で、青の線はAAFCO養分基準の下限です。

 つまり、この青の線を棒グラフが上回っていれば、基準を満たした栄養素になります。

 ところどころの赤の線は、最大値の線です。

 最大値は、AAFCO養分基準では一部の栄養素で設定されており、ここを超えないように定められています。

 タンパク質とアミノ酸と脂肪の項目はすべて基準を満たしていますが、ミネラルやビタミンでは青の線を下回っている栄養素がたくさんあります。

 そこで、追加する食材を設計、提案します。

 それが、以下の赤の棒グラフです。

追加食材により改善されたグラフも並列

 食材追加により、ミネラルとビタミンの充足はよくなりますが、まだ不足があります。

 なお、エネルギーあたりのレシピの栄養素量の充足率なので、追加食材でエネルギー(カロリー)が変化するため(分母が変化するため)、青の棒グラフより赤の方が充足率が減ることもあります。

 最後に、サプリメントを追加して、できるだけ栄養素が充足できるように設計します。

 ミネラルとビタミンのグラフを拡大して以下に示します。

 サプリメントも追加したレシピが緑色の棒グラフです。

サプリメントも追加したミネラルのグラフ

サプリメントも追加したビタミンのグラフ

 3つの棒グラフで、飼い主様に説明する意味は、

 最初の食材のみのグラフ(青の棒グラフ)と比べ、食材を追加することで(赤の棒グラフ)、栄養素充足の改善をご理解いただくこと、

 そして、サプリメントを追加することで(緑の棒グラフ)さらに改善が図れること、

 追加しなければ、どのくらいの不足になるのかご理解いただくことを目的としています。

 このような視覚化を一度行うだけでも、その後の手作り食への向き合い方が大きく変わります。

 当院では、このような形で設計レシピを説明しています。

 ここでは示していませんが、もちろん依頼された飼い主様には、その設計したレシピの追加食材やサプリメントの種類や量をお伝えします。

 通常の栄養診療・相談と異なり、このレシピ設計は、設計料が発生します。

 ボタンひとつで簡単に設計できるわけでは、ございません。

 それぞれのわんちゃんねこちゃんに対して、飼い主様とご相談しながら設計を行っているため、時間がかかります。

 病気のわんちゃんねこちゃんによっては、既存の療法食もなく、その病態を考慮した設計を行うため、さらに時間がかかることもございます。

 そのための料金と、ご理解ください。

 もっと簡単に、安くレシピをご希望の場合、他のサイトやかかりつけの動物病院にご相談ください。

  清水

bottom of page