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FDAによる食事と拡張型心筋症(犬の心臓病)の調査


ごはんはネチョネチョしているから、パンがいいな~。

 みなさん、こんにちは。

 清水です。

 先日、アメリカのFDA(日本の厚生労働省や農林水産省のような政府機関)が一部のペットフードと拡張型心筋症の関連性の調査結果を発表しました。

 FDA Investigation into Potential Link between Certain Diets and Canine Dilated Cardiomyopathy

 先日の東京の学会で、知人の先生とこの話題になり、アメリカの調査や公表の速さに、日本では?と思いました。

 

 拡張型心筋症という心臓の病気は、あまり多くはありません。

 今回、一部のペットフードを食べた犬に多く発生していることを調査していたFDAが、その結果を公表しました。

 そのペットフードの多く(すべてではありません)が「グレインフリー」と表記されていたと報告されています。

 グレイン(Grain)は、穀物のことで、小麦や大麦、米などを指します。

 グレインフリーの食事は、これらを含まず、代わりに豆類やジャガイモを使用していました。

 報告のあった食事は、必ずしもグレインフリーとは限らず、一般的な食材以外(カンガルーやバイソンなど)を使用していた製品も含まれていました。

 拡張型心筋症になって、亡くなってしまった犬も多いですが、動物病院での治療や食事の変更などにより改善した犬もいると報告されています。

 原因の究明には、まだ調査が必要とされています。

 報告された犬種や数、フード会社名は、FDAの調査報告(こちら)よりご確認ください(英語ですが、グラフで表示されていて、わかりやすいです)。

 

 拡張型心筋症になると、元気が無くなったり、咳をしたり、発作が起こることもあります。亡くなってしまうこともあります。

 動物病院で心臓病と診断されても、食べ物が原因とはあまり考えませんが、今回の報告からは、食事の内容調査が非常に重要になります。

 拡張型心筋症は、この病気になりやすい犬種が起こる場合と食事が原因で生じる場合とあります。

 食事性の拡張型心筋症では、タウリン不足が原因の場合と、そうでない場合があります。

 今回、タウリン不足の可能性が指摘されており、血中のタウリン濃度の測定が推奨されていますが、国内では一般的には行われていません。

 拡張型心筋症の診断には、心臓の超音波(エコー)検査が行われます。

 拡張型心筋症がある場合、現段階では、単純にその食事が原因とは言えませんが、食事を変更することによって、改善して助かるわんちゃんが増えるのであれば、期待したいです。

 少なくとも、この公表を行っているアメリカでは、この関心は大きいと思いますが、日本ではまだ知らない方も多いため、犬猫を愛する皆様がこの問題に関心を持ってほしいです。

 わんちゃんねこちゃんのために、よりいい食事を求めるのは、どの飼い主様も同じだと思います。

 日本人はいいと思ったフード、勧められたフードは、裏切ることなく、そのフードだけを与え続けてくれると、あるフードメーカーの方がおっしゃってました。

 まじめな飼い主様が選んだフードで、愛するわんちゃんが病気になることがないよう、早期の原因究明が望まれます。

 

 このブログによる小さな発信ではありますが、食事によって拡張型心筋症になって苦しむ、亡くなるわんちゃんが減るよう、願っています。

 読者のみなさま、このような食事と心臓病の関係が疑われていることへの関心、周知をお願いいたします。

 FDAの調査では猫の報告もありますが、数はとても少なく、より多い調査が必要なようです。

 食事に関するご相談があれば、当院またはかかりつけの動物病院までご相談ください。

  清水

参照

FDA Investigation into Potential Link between Certain Diets and Canine Dilated Cardiomyopathy

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