
みなさん、こんにちは。
清水です。
犬猫に与えない方がいい、食べ物の質問を受けますが、難しいですね。
原因がわかっているものから、不明なものまであります。
治療法も、解毒剤など、中毒に対応した薬があるものから、一般的な催吐処置や活性炭投与、点滴など対症療法で対応するしかない場合もあります。
与えても大丈夫だった経験談を聞くこともあります。
実際、症状の出ないワンちゃんやネコちゃんもいるでしょうし、症状が表に出ていない(出さない、気づいていない)こともありえます。
ワンちゃん、ネコちゃんは、全て同じではありません。
みなさまの食いしん坊で、いたずら好きのワンちゃん、ネコちゃんが誤って食べることがないように、ご注意ください。
私たちが、ペットをよく見ているように、ペットも私たちをよく見ています。
食べた後に「ぽいっ」と、お世話になる、ゴミ箱に魅力を感じているワンちゃんもいます。
魚肉ソーセージのビニール屑、桃の種、焼き鳥の串、、、。
胃腸管に詰まって、緊急手術になったワンちゃん、ネコちゃんを思い出します。
飼い主様の口にするものは、食べ物だけとも限りません。
風邪薬や胃腸薬や頭痛薬、隠れて飲んでいても、見ていることがあり、隠していても、気づいていることがあります。
鞄の奥に入れていた頭痛薬を誤食したワンちゃんもいます。
口にする煙草に興味を持つワンちゃんもいます。
誤って食べてしまうものはたくさんありますが、 今回は、代表的な食べ物を挙げます。
アルコール
アルコール飲料、アルコールを含む食べ物を摂取すると、嘔吐、下痢、神経症状、ふるえ、昏睡、時に死にいたることもあります。
急なふらつきに始まり、沈鬱から昏睡になったワンちゃん、当初原因不明でしたが、後で酒粕を食べていたことがわかりました。事なきを得ましたが、酒臭さもなく、診断に困った症例でした。
ワンちゃんの手や口の届くところには、ご注意ください。
チョコレート
これらには、メチルキサンチンが含まれ、嘔吐、下痢、パンティング、興奮、不整脈、時に死に至ります。ダークチョコレートの方がミルクチョコレートよりメチルキサンチンが多く含まれるため、危険です。代謝能力の違いにより、中毒を起こしやすいワンちゃんもいるため、注意が必要です。
ぶどう、レーズン
原因物質は、まだわかっていませんが、これらを食べることで腎臓に障害が生じる可能性があるため、与えない方がいいと考えられます。国内でも、ブドウを食べたマルチーズが急性腎不全で亡くなった報告があります。
マカダミアナッツ
メカニズムは不明ですが、嘔吐、運動失調、高体温、沈鬱の症状が起こる可能性があります。致死的ではないようですが、注意が必要です。
タマネギ類
赤血球が破壊されて、貧血になることがあります。特に、ネコちゃんは発症しやすいですが、ワンちゃんの方が食べる可能性は高いので、どちらも注意が必要です。人の赤ちゃん用のオニオンパウダー入り缶詰を食べたネコちゃんで、発症の報告もあります。
生の肉、卵、骨
生の食材の一番の問題点は、細菌や寄生虫などの感染症です。ペットの感染は、人への感染源にもなります。衛生管理の整っている日本でも、食中毒の問題は、常にあります。どこで、どのように汚染されるかわかりません。
生卵のアビジンという成分で、皮膚疾患になることがありますが、加熱によりこのアビジンは失活します。
骨は、カルシウム源になりますが、そのまま与えると、消化管で詰まって消化管閉塞を起こしたり、消化管を傷つけたり、穿孔したりする危険性があります。
キシリトール
チューインガムをはじめ、人用の製品に多く使われていますが、肝臓疾患や低血糖を起こすことがあります。
ホップ
ビールの原料で、誤食すると悪性高熱になることがあり、この症状を起こしやすいグレイハウンド、ラブラドールレトリバー、ボーダーコリーなどの犬種は、発症しやすい可能性があります。
アボカド
基本的には、小鳥に対して注意が必要ですが、犬もアボカドを摂取後、心臓に異常が起きた報告があります。
パン生地
パン生地は、胃腸管を膨張させ、さらに、胃腸管で発酵が進むとアルコールが発生するため、急性アルコール中毒になることもあります。
他にも、毒キノコやカビの生えた食べ物も、、、と挙げていけばたくさんありそうですね。
ここに、挙がっていないものが、食べて大丈夫というわけではありません。
食べ物に関する不安やご相談がございましたら、かかりつけの動物病院、もしくは当院まで、お問い合わせください。
清水
参考
ASPCA Animal Poison Control
APCC Animal Poison Control Center
MSD Manual Toxicology Food Hazard
Household Food items Toxic to Dogs and Cats